横浜スタジアムでの試合は全て満員、来シーズンのシーズンチケットの売れ行きも球団史上最速と人気が右肩上がりの横浜DeNAベイスターズ。公式ファンクラブの会員数は2011年からなんと13.9倍に。オリジナルキャップの配布や、「コミュニティボールパーク」化構想の実施なども話題になっています。
今回は横浜DeNAベイスターズ ブランド統括本部広報部の河村康博さんに、球場が満員になるまでの施策についてお伺いしました。

会員数が13.9倍になった公式ファンクラブ

ーー横浜DeNAベイスターズの公式ファンクラブである「B☆SPIRIT友の会」の会員が2011年から13.9倍にもなったんですよね。

横浜DeNAベイスターズになる前年の2011年では会員数が6,500人にも満たなかったのですが、2018年には9万人、19年も8万9千人を達成することができました。



ーー伸び方がすごいですね!ファンクラブ「B☆SPIRIT友の会」に入会すると、どのような特典があるのでしょうか?

ファンクラブ会員になると、一般の方よりも早く試合のチケットが購入ができるようになりますね。さらに特別なグッズが買えたり、会員限定イベントなどの特典などがあります。

ーーやはり会員限定などのロイヤリティがあると、入りたくなってしまいますよね。横浜DeNAベイスターズではメインターゲットを「アクティブサラリーマン」としているそうですが、どのようにして決まったのでしょうか?

DeNA体制になり、さまざまなアンケートを実施していますが、それらを通してファン層の中心が20〜30代の男性であるということが分かりました。ですが、同じ年代の方の中でも様々な人がいますよね。来場者データや我々の目指す方向、ターゲット層の趣味嗜好を踏まえて考えた結果、「休日も家族や友達、恋人と楽しむために、自らエンターテイメントを探してアクションを起こす男性サラリーマン=アクティブサラリーマン」と細かくペルソナを設定。野球に限らず、様々なエンターテイメントを求めている人に野球を楽しんでもらいたいと考えました。細かくペルソナ設定をすることで、施策を具体的に考えられるようになりますし、球団の職員それぞれが同じ方向を向いて進むことができます。

ーー今まで球場に足を運ぶことが少なかったライト層を呼ぶことができた秘訣はあるのでしょうか?

野球の質やクオリティで勝負することは、プロスポーツ業界であるべき姿ではありますが、ライト層には響かないのが現状です。横浜スタジアムに行けば花火が上がったり、ドローンが飛んでいたりと「野球が詳しくなくても楽しめそう」と思ってもらうことで、ライト層でも球場に足を運びやすい環境を作りました。きっかけは野球ではなくても、球場に来て野球観戦という体験を楽しんでもらえたらと思います。試合の勝敗によって楽しさが左右してしまうと、負けたときにお客さんが減ってしまいますよね。スポーツも遊園地と同じようなエンターテイメントと捉え、その上に勝敗による楽しさや悔しさが加わるイメージです。

ーー野球観戦をエンターテイメントの中の1つとして楽しんでもらうということですね。今年の夏には写真家・石田真澄さんの写真展も行なっていましたよね。

石田真澄さんが撮り下ろした試合の様子やファンの姿の写真を『サマータイム ベイスターズ』と題して展示しました。野球に馴染みのない人も、興味を持ってもらい、球場に足を運ぶきっかけを作りたいと思っての施策です。きっかけや球場に足を運ぶ最初の理由は何であっても、行き着く先はベイスターズと野球であることは忘れないように意識しています。

横浜市民に横浜スタジアムをより身近に感じてもらいたい

ーー現在は「コミュニティボールパーク」化構想も進んでいますよね。

野球が大好きな人はもちろん、まだ野球を楽しんだことがない人でも気軽に集まって楽しめる場を作りたいという思いからスタートしたプロジェクトです。2017年からは横浜スタジアムの球場の増築・改修工事を行っており、2020年のシーズン開幕に合わせて完成を予定しています。

ーー2020年はますます横浜スタジアムを中心に、横浜DeNAベイスターズが盛り上がりそうな予感ですね。横浜DeNAベイスターズといえば、2015年に行われたキャップの配布も印象的です。

横浜DeNAベイスターズが5周年目を迎えるにあたって、1つの大きな目玉プロジェクトとして約72万個のロゴ入りキャップを神奈川県内の子供達に配布しました。また、横浜スタジアムバックスクリーン下にある「DREAM GATE」の設置が始まったのも、この頃。横浜スタジアムがある横浜公園にはどなたでも入ることができるのですが、球場はチケットを買わないと中を覗くこともできません。そこで横浜スタジアムをもっと身近に感じてもらうために、公園を通った人が中を覗けるようにしました。この施策によって、物理的にも心理的にも距離が縮まったのではないかと思います。ゲートをくぐってグラウンドの緑が見える感動的な瞬間をもっと気軽に味わってもらいたいですね。さらにナイトゲームがある日の朝7時から8時半の間は、球場でキャッチボールをすることもできます。もちろん、グローブやボールも無料で貸し出していますよ。

ーー普段選手がプレイしている場所でキャッチボールができるなんてファンは嬉しいはず!今年も選手たちのドキュメンタリーブックの発売が決定していますよね。

毎年、シーズンを通してカメラマンやライターさんにチームに密着してもらい、ドキュメンタリーブックの制作をしています。選手たちがどのように苦労し、どのように喜んでいるのかといったリアルな表情をお届けしており、ファンの皆様にも好評をいただいています。選手も1人の人間なので、素の表情を見せることで距離がグッと縮まるのではないでしょうか。さらにシーズン中にはリアルタイムで起きた出来事を伝えるコラムを週に1回、「FOR REAL-in progress-」としてホームページに掲載しており、ブックにも掲載しています

大好きな横浜の大好きなプロ野球チームと言われることを目指して

ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。

昔はみんながテレビでジャイアンツの試合を見るような時代でした。時代が進むにつれて様々なエンターテイメントが増え、地上波でプロ野球の試合が放送されることは減ってきました。そんな中、今は試合を球場で観戦することが定着し、観客動員数は年々増加傾向にあります。私たちも「B☆SPIRIT友の会」会員の皆さんを中心に球場をしっかり盛り上げたいと考えています。さらに、インターネットの世界で、ベイスターズが確固たる地位を獲れるように、オンライン施策も力を入れていきたいと思います。

様々な施策を行なってきて、1つの案件でお客様の増加率をで測ることは難しいですが、ありがたいことにお客様が楽しんでいただいている声はたくさん届いていて、「大好きな横浜の大好きなプロ野球チームだよね」って言ってもらえる状況に近づいているのではないかと思います。魅力ある一つ一つの取り組みを実現することで、ファンの皆様、横浜市民の皆様、企業の皆様など、さまざまなステークホルダーの方が横浜DeNAベイスターズの存在を身近に、そして魅力あるものと感じてもらえたら嬉しいです。