「コミュニティマーケティング」や「ファンベース」といった、ユーザー巻き込み型のマーケティングに取り組む企業が増えていますが、なんとなくスタートしてしまうと必ず失敗します。その理由は、目標を明確に設定していないからでしょう。つまり、具体的な目標なく運営をしたコミュニティは、社内外どちらにとっても説明責任が果たせない、ということになります。これは、なんとなく、いつか売上に貢献してくれれば、といった淡い期待だけで始めてしまうケースにも当てはまります。

では社内外に対しての責任を果たせないとは、どういったことなのでしょうか。まず、「社外」つまりコミュニティメンバーである、あなたの顧客にとっては、そのコミュニティに入ることで何が得られるのかがわからなければ、そもそも参加してくれませんし、入ってくれたとしても所属し続けることに意義が感じられなくなりコミュニティを出てしまうでしょう。

一方で、「社内」、特に上司や同僚にとってはどうでしょうか?もし目標が明確でなければ、社内で報告をする際に、「ユーザーが増えました」とか「アクティブ率は○%です」といった報告をしても、正直いいのか悪いのかが判断できないでしょう。そうなると最終的には「いつまでコストをかけて、そんな売上につながらないことをやっているんだ」という話になります。上司であればコストばかりかかるものは経費削減の対象にしかなりませんし、同僚もイベント運営などに協力するということもしてくれなくなるかもしれません。

このように、コミュニティ運営という中長期的に成果をあげる施策については、明確な目標設定が必要不可欠であると言えます。では、コミュニティを運営する目標とは一体どんなものがあるのでしょうか。私は大きく分けると以下の4つに分類されると考えています。

1. ブランディング
2. パフォーマンス
3. サポート
4. コラボレーション

もちろん最終ゴールは、企業がやっている以上、売上向上に貢献するということなのですが、売上貢献に至るルートとして、手前の目標設定として、この4つの方向性を意識して運営されることを提案しています。では、順に見ていきましょう。
 

1. ブランディング

一つ目は「ブランディング」です。これは、文字通りブランド認知度を上げたり、ブランドロイヤリティを高めていくことを目標とします。この時のKPIとしてはブランドリフトとなります。

ある意味、コミュニティを運営する目標としては、これが一番多いパターンであり、かつ成果を分析しづらい目標でしょう。実際、なんとなく「ファンを作りたい」といった考えでスタートするケースが多いと思います。その際に、ブランディングが目的である、逆に言えば直接的な売上ではない、ということが明確であれば、定期的にブランドリフト調査を行なってその推移を見ながら運用していく、という”マーケティング的な”運営ができるようになります。今は、ブランドリフト調査は多くの会社が提供してくれているので、数値化することが容易になっています。
 

2. パフォーマンス

二つ目は、パフォーマンスです。これはコンバージョンや店舗への来訪などの成果を出すということになります。この場合、必ずしも何かを購買させるということだけでなく、例えばBtoBであれば資料請求や問い合わせ、あるいはイベントへの参加、などもコンバージョンの対象となります。つまりは、なんらかのアクションを取らせること、ということになります。

コミュニティを使いながらコンバージョンを目指す、というのは、ちょっと直接的すぎる感じもありますが、目標設定としてはわかりやすく、成果としても見えやすいので設定するというケースは多いでしょう。この場合は、成果がそのままKPIとなりますので、むしろ注意すべきは運用面、ということになります(ユーザーに嫌がられない運用)。
 

3. サポート

3つ目はサポートです。これは、ユーザー同士がお互いに情報提供し合うことで、自然と商品等のサポートが行われている、という状態を作ることです。これを第三者的にやっているのが、いわゆる口コミサイトになります。

価格コムが非常にイメージしやすいと思いますが、ある商品に対して、誰かが質問して、他のユーザーがそれに回答する、という場になっています。これを企業自身が作り出す、というのがサポートです。

具体例としては、ケイ・オプティコムの格安スマホ「マイネオ」があります。マイネオでは、ユーザー同士が疑問やトラブルをお互いに解消するコミュニティサイト「マイネ王」を運営しています。また、パケットを(知らないユーザーも含めて)分けあえるサービスがあったりと、かなり”コミュニティ”を意識したサービスを展開しており、非常に面白い運営の仕方をしており、その辺りがユーザーにも支持されている理由かもしれません。
 

4. コラボレーション

4つ目はコラボレーションです。これは、日本語にすると「共創」ということで、ユーザーと共同で商品開発をしたり、UGC収集などもこれに当てはまります。

昔はユーザーを招いてのグループインタビューなどがよく行われていましたが、コミュニティを運営することで、いつでもユーザーの声をすぐに聴くことができるようになりますし、さらにそこから進んで商品開発につなげることも容易になります。

ユーザーを巻き込んだ商品開発の事例としてはカルビーの「じゃがり校」があります。「じゃがり校」は2007年より運営されていて、以前からユーザーを巻き込んだコミュニティの発想で取り組まれているのでご存知の方も多いのではないでしょうか。まだご覧になったことがない皆さんは、ぜひ”入学”なさってみてください。

また、UGC(User Generated Contents)を活用したいという場合にもコミュニティは有効です。例えばフォトコンテストなどは代表例ですが、ユーザーに投稿を促す場合にも、ここ数年はInstagramでのハッシュタグキャンペーンが多かったですが、APIの仕様変更により活用が難しくなってきていますので、オウンドコミュニティを使ったUGC収集が、今後は主流となっていくでしょう。
 

まとめ

このように4つのコミュニティ運営の目標設定を見てきましたが、コミュニティを始めるにあたって、まず、どれに当てはまるかをじっくりと検討して、それに向けたコミュニティ活性化のための施策、オウンドコミュニティを構築するなら機能要件を整理していくことが重要です。そして、何を持ってそれを成果と捉えるかというKPIの設定もセットで行い、運用していくことで成果が見えやすくなるでしょう。