スノーピーク 代表取締役副社長 CDO 山井梨沙氏
 
「人生に、野遊びを。」をコーポレートメッセージテーマに掲げ、キャンプ・アパレルを中心にハイスペックな製品を通じた感動体験を提供するアウトドアブランド・Snow Peak(スノーピーク)。
 
「働き方改革」をきっかけに、働き方が見直されつつある昨今。20年以上も前から、ユーザーとのコミュニティ形成に取り組んでいた彼らは、会社という組織の「コミュニティ形成」ではどのようなユニークな施策を行なっているのか。
 
はたらく人たちのコミュニティ形成について、スノーピーク 山井氏へインタビューをさせていただきました。
 

社員同士の距離を縮める、キャンプ場での全社員総会


ースノーピークではミーティングを会議室で行っていない、と聞いたのですが…。

そうですね。もともと新潟の本社には、オフィスの隣にキャンプ場があるので、いつも当たり前のように外で会議をしていました。オフィスを出て、外の陽の光や風を感じながらミーティングをすると、みんな自然とマインドが切り替わって前向きになれたり、新しいアイディアが出たりという変化があるんですよね。東京でも、月次の堅い会議をテラスでやったりしますよ。

ーそれは会社全体でも意識的に取り入れていることなんですか?

そうですね。たとえば、半年に一度の全社員総会では、本社のキャンプ場でキャンプをしています。うちのキャンプ場がすべてうちの社員で埋まるんですよ(笑)。

自分たちでテントを持ってきて、チームでワークショップをやったり、30台くらい焚火を起こして、それを囲んで、普段思っていることや、これからチャレンジしたいことを語り合うんです。

「自然」とは不思議で、自然と人間との関係は原点回帰的な、人間の営みそのものなんです。

だから、普段都市で生活しているときよりも感受性が豊かになり、人との距離が近づいて、本音で語り合うことができます。
 
現在、グローバルで約350人社員がいるのですが、普段は離れ離れで仕事をしていたり、本社と小売のスタッフは物理的に会う機会も少なかったりするので、全社員総会のキャンプは、とても特別な機会になっています。

また、社内向けにイベントを企画することも多いです。新潟では、基本的に車で出社する社員が多いので、会社帰りに飲んで帰る、というのがなかなかできません。なので、イベントではオフィスでお酒を飲んで語ったあと、泊まりたい人は寝袋を敷いたり、テントを張ったり、というのを自発的にやっていますね。

ーオフィスでテント…! それはスノーピークさんならではですね。

他にも、社内では「インタラクティビジョン」というシステムを取り入れていて、新潟・東京オフィスを画面上で常時接続されています。それまでは電話が当たり前だったんですが、今は画面越しに聞きたいことがすぐに聞けるようになり、コミュニケーションが円滑に進むようになりました。

また、"フリーアドレス"も三条市に本社「Headquarters」を開設した8年前から実施しており、社内では、業務上席を固定する必要があるメンバー以外は「絶対に前の日と同じ席に座ってはいけない」というルールがあります(笑)。

直接人と人とがコミュニケーションを取れるような環境づくりを意識して行なっていますね。

「自然と、仕事が、うまくいく」ビジネスソリューション


ー現在スノーピークでは他の企業にも「自然」と「仕事」にまつわる様々なソリューションを提案しているそうですが、それは何をきっかけに始められたんですか?

我々の場合、「自然のなかで仕事をする」のが当たり前だったので、それを特別なこととも思っていなかったんですよ。

もともとはスノーピークとしても自然の中で仕事をする効果をほかの会社にもご提供できないかと考えていたところ、現子会社である『スノーピークビジネスソリューションズ』代表の村瀬が、当時愛知の岡崎でシステム会社をやっていて、声を掛けられたことがきっかけでした。

システムの仕事はつねにパソコンに張り付いていることもあり、かなりのストレスを抱えている方が多いですし、村瀬の会社で実際にチームビルディングやコミュニケーションにキャンプを取り入れていた効果も実感していました。そうした、「職場にこそ、アウトドアの力が必要だ」という気づきからこの事業が始まりました。

我々が当たり前だと思っていたことが事業に結びついたのは、そうやって客観的に見てもらったからなんですよ。

ーなるほど、具体的にはどのようなことをやられているんですか?

オフィス空間のデザインや、公園、都市部のガーデンエリアなどで行う「CAMPING OFFICE」、キャンプ場で行うチームビルディング研修、経営ビジョン会議など、ニーズに応じて幅広くセッティングさせていただいています。
 


キャッチコピーは「自然と、仕事が、うまくいく」です。

いつものオフィスを飛び出して、自然のなかで仕事をすることで、仕事の効率が上がったり、アイディア発想がうまくいったり、チームとしてコミュニケーションが円滑に取れるようになるのはもちろん、とにかく笑顔が増えた、という声が多く挙がっています。

そんなアウトドアを取り入れたスノーピークの「働き方改革」で、少しでも企業が抱える課題解決に力添えができたら、と思いますね。